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オルカプロジェクト
  1. はじめに
  2. 使用機材
  3. Debian Linux のインストール
  4. ネットワークの設定
  5. プリンタの設定
  6. オルカのインストール
  7. 試運転
  8. 本格的な運用に向けて
  9. 開院後のパニック
  10. 開院2ヶ月
  11. 開院5ヶ月
  12. 2重化とRAID

はじめに

レセコンを選定するためにネットで調べていたところ,医師会のORCAを発見.最初は(いろんな意味で)危ないかなと思っていましたが,プロジェクトという言葉にひかれてしまい,選択肢に入れました.ORCAをインストールしてみると,とてもよくできておりこのまま使ってみたくなりました.このソフトがうまく育っていけばキラーアプリケーションになると確信します.私もORCAを使っていくことでプロジェクトに参加していることになればと思い導入することに決めました.


使用機材

機材はDellのPower Edge 650がネットで期間限定で安かったため,ORCAを動かすためだけに購入しました.CPUはPen4,HDはIDE120Gです.デフォルトのネットワークカード(IntelPro/1000MT)がe1000のドライバを必要とするところに注意が必要でした.もう1台は3年ほど前にこれまた現品限りの安売りで購入したソニーのVaio PCG-SR9/Kを使うことにしました.これはWin2000Proを入れて必要なときに使っていたのですが,最近はあまり使わなくなっていたので心機一転ORCAクライアントとしてがんばってもらうことにしました.将来的には主従サーバ2台にクライエントコンピュータというスタイルの運用を目指してはおりますが,はじめからそんなにコンピュータを増やす訳にもいかず,当面の間はこの2台で運用することにしました.

スペック

Dell Power Edge 650
プロセッサ:インテル(R)Pentium(R)4 プロセッサ 2.40GHz
533MHz フロントサイドバス(Pentium 4プロセッサ)
512KB L2キャッシュ(Pentium 4 プロセッサ)
ServerWorks GC-SL チップセット

メモリ
512MB PC2100 ECC DDR266 SDRAM

グラフィックス
内蔵ATI-Rage XLTM 8MB SDRAM、解像度1600×1200 (65,000色)

I/O スロット
3.3V PCI-X 64ビット/133MHz x 1、3.3V PCI 64ビット/33MHz x 1

I/O ポート
背面:PS/2キーボード x 1、PS/2マウス x 1、シリアル x 1、USB1.1 x 2、ビデオ x 1
前面:ビデオ x 1、USB1.1 x 1

ドライブベイ
ハードディスクベイ: 1インチ x 2
12/24倍速 IDE CD-ROM(スリムタイプ)
標準3.5インチ 1.44MBディスケットドライブ(2モード)

通信
インテル(R)PRO/1000MT

モニター:Sharp LL-T1510A (1280 x 1024)

ひとこと

スペックはとてもいいのですが,1Uタイプはファンの音がうるさいです.こんなものを横においては仕事ができませんので,レントゲン室に吊り棚を作ってもらい,そこにおくことにしました.ネットワークにさえつなげておけば,サーバーを自分の近くにおいておく必要は全くありません.

SONY VAIO PCG-SR9/K
CPU: Pentium III 600 MHz
Chip set: Intel 440 ZX AGP set
Memory: 192 MB
Graphic: 128 bit NeoMagic MagicMedia256XL+ (NM2380) AGP, videomemory 6 MB
LCD: 10.4 inch, XGA
HD: 4 GB (originally D drive of Windows)


Debianのインストール

DebianはWoody(r2)をネットからダウンロードしてきてISOイメージでCDに焼いて,そのままbf24でインストールです,

Dellへのインストールは設定も言われるままに進めて問題ありません.注意点としては,2.4.18ではDellに標準で入っているIntel1000MTのネットワークカードを認識しません.Debianインストール開始前にふたを開けてRealtekの100baseTのカード(ラオックスで800円で購入)を空いているPCIスロットにさしておき,ORCAのインストール途中でカーネル2.4.18-686にするとRealtekネットワークモジュール(8139too)が入って認識されるようになります.ネットワークにつながればこっちのものです.

さて,Dellのネットワークカード(IntelPro/1000MT)モジュールを入れるためには,カーネルをアップグレードしないとなりません.カーネルのアップグレードは日常的にやっている人ならともかく,ORCAのために初めてDebianをいじったような場合は,うかつに手を出すと必ず失敗します.そこで,カーネルパニックになってももとに戻れるように,liloではなくgrubをつかって立ち上がるようにしておきました.そうするとliloよりも簡単に起動時にブートさせるカーネルを選べるので手間が省けます.必要なパッケージをapt-getしたあと,おもむろにkernel.orgからとってきた2.4.20.tar.gzを展開してカーネルをアップグレードするとe1000.oが入るため,次からは1000BTで通信することになります.ちなみにIntelのHPからe1000-5.2.22のソースもとってきて展開してみましたが,結局使わなくてすみました.これでDellにDebianがインストールされました.

さて次はSonyへのインストールが待っています.SonyはPCカードスロットは一つしかない上に,ネットワークカードもCDも同じPCカードスロットを使うのためはじめからはネットに接続することができません.まずCDドライブをPCカードスロットにつないで立ち上げます.ブートプロンプトが出た時点で

bf24 ide2=0x180,0x386

のおまじないをしてあとはただインストールしていくだけです.最低限のインストールが終わったらCDドライブをはずしてしまい,代わりにネットワークカード(PCI, 10/100Base-TX, FNW-3600-T)をさします.あとはネットからダウンロードしてインストールを進めました.注意点としてはインストールの途中でカーネルをbf2.4から2.4.18-686にしてリブートするとbf2.4では見えていたネットワークカードを認識しなくなります.マニュアルではモジュールを設定してネットワークをリスタートすればいいはずですが,sonyのこの機種ではうまくいきませんでした.そこで2.4.18-686を使わずに2.4.18-bf2.4から2.4.23-686にアップグレードすることとしmake menuconfigでPCMCIAのモジュールが入るようにしておくと,ネットワークカードを認識してくれました.こちらはわりとすんなりと2.4.23になり安定して動いています.

(蛇足)

最初は悩みの種はデルのマシンに入っているネットワークカードのモジュールのインストールでした.最初からモジュールに入っている場合はなんの苦労もありませんが,今回のNICがkernel version 2.4.18では対応していなかったためIntelのHPから

e1000-5.2.22.tar.gz

をとりあえずダウンロードしてきました.(やっかいなことにKernel 2.2.xの場合はe1000の古いバージョンを使うように書いてあります).結果的にはDebianのHPからkernel-headers-2.4.24をとってきて,apt-get installでインストールした後に

tar xzvf /usr/src/e1000-5.2.22.tar.gz

cd e1000-5.2.22/src

make install

make clean

insmod /lib/modules/2.4.24/kernel/drivers/net/e1000.o

以上でインストールされました.

ifdown eth0; ifup eth0

などでネットワークカードをactivateしたら,ネットにつながります.


ネットワークの設定

ネットワークの設定はカーネルのアップグレードに比べれば簡単に感じてしまいます.外部ネットワークから切り離すためにNATで内部ネットワーク用にプライベートアドレスを作成してあります.1(ルーター),5(主サーバ),6(従サーバ),7(クライアント),31(プリンタ)となるようにアドレスを割り振りました.空き番号には別のコンピュータがつながっています.ORCAに必要な最低限の設定だけしてやってとりあえずは完成です.


プリンタの設定

プリンタは持っていなかったため,何機種かの候補を調べたあげくブラザーの5070DNにしました.100BTのネットワークカードがついていて,ポストスクリプト(BRスクリプト)がはいっていてこの値段(ネットで購入)のレーザープリンタはほかにありません.リコーのORCA対応プリンタにした方が設定は簡単だった気もしますが,オプションでポストスクリプトをつけると値段が3倍くらい違うので,その時点で選択肢からはずれました.流れとしてはghostscriptで使うことの方が多いですからポストスクリプトの有無をあまり気にしなくてもいいのかもしれません.また購入前に「動作音がうるさい」という意見がありましたが,実際に使用してみるとプリント最中は確かに音がするもののいままでにつかったプリンタに比較して特にうるさいということはなく許容範囲と思われます.スリープ中は無音ですし,データを送ったときの目覚めも早くさっさと印刷をしてくれるので,小さい診療所に置くにはコンパクトだし便利です.

設定についてはORCAのHPよりポストスクリプトプリンタ設定の通りに行うだけで問題ありませんでした.念のためにこのプリンタ用にPPDファイルを入れておきました.ORCAの公式ページや関連ページを見てみますと,Brotherのプリンタはマイナーのようですが,もうすこし評価されてもいいように思います.

(蛇足)

ブラザーのこのプリンタはポストスクリプトの他に,ネットワークカードと両面印刷機能がついて,毎分18枚印刷でき3万円台で買えましたので,いまのところとても満足しています.ところが最初はこのプリンタ用のPPDファイルというのがサポートされているんだかないんだか不明でした.ネットでさがしていると,Brother-HL-5070N-Postscript.ppdというファイルが見つかりました.これをorcaのホームにダウンロードして

defoma-psfont-installer

でPPDファイルをしてやると,それらしくインストールされたような印象です.その後のプリントアウトに問題なさそうなのでこのまま使用しています.正しいのかどうかわかりませんが,今のところ問題なさそうです(1ヶ月運用後の3月31日現在)


ORCAのインストール

マニュアル通りにapt-getしていくとインストールが完了し,特に問題点はありません.本当に良く書かれたマニュアルです.ORCAをスタートするためのコマンドが長いのが(linuxはコマンドが長い)欠点ですが,適当なシェルスクリプトを書いて登録しておけばどうってことありません.そのシェルスクリプトも自分で頭をひねることもなく,有用な情報を提供されているHPが多数あるため参考にさせていただきました.さて,ormasterでORCAが立ち上がるようになりましたので,必要なユーザーを登録しておきました.システムをrebootするとシャチの絵が出て一件落着.コンピュータに詳しくないスタッフのために,コンピュータにログインするとORCAの画面が出るように設定し,また間違ってORCAを終了したとき,簡単に再度立ち上げることができるように(そのたびに自分が呼ばれなくて済むように),パネルにオルカアイコンを登録しておきました.これで完璧です.


試運転

ORCAを使うための医療機関の番号をいただきましたので,さっそく基本情報から登録してみます.ORCAをインストールするだけの仕事であれば,これで終わりでしょうが,クリニックを運営していくためにはORCAが動くというだけではスタート地点にたったようなものです.自分も含めスタッフが使えるようにならないと全く意味がありません.まずはクイックマニュアルの通りに「日医花子」さんを「急性気管支炎」で登録して,進めていくとその日のうちにレセプトまで印刷できてしまいました.

大企業が提供しているレセコンがシェアのほとんどを占めている現在,ORCAのシェアは全国でも1%ないくらいでしょうか.ORCAはメーカーや機種を選ばないのでほとんどのコンピュータにインストールできますし,コストも低く抑えることができます.1年前のORCAならば,こんなにスムースに印刷まで来ることはなかったと思います.毎日MLでかわされる情報を読んでいると,ORCAは日進月歩で進化していることが目の当たりに感じられます.ORCAプロジェクトが立ち上がった早い時期からORCAをインストールされた先生方のご努力には頭が下がります.世の中は必ずしもいいものが普及するとは限らないという現実はありますが,ORCAは業務用としてこんなにいいソフトですからこれからもっと普及してほしいと思います.


本格的な運用に向けて

時計台クリニックは2004年3月にオープン予定です.あと3ヶ月しかありません.(2004年1月現在)それまでに自分も含めスタッフが使えるように環境整備することとしました.

当面の目標は,(1)ワンパターンの診療行為についてはセット登録しておきバ−コードリーダーで項目を選ぶだけにする.(2)診察しながら必要な項目を入力してしまい,診察終了時には処方箋と会計表がプリントアウトされていること.の2点としました.実際に受付してからのながれをシミュレーションしながら徐々に形にしていきました.まずは自宅でクリニックと同じになるであろう環境を整えテスト運用を開始しました.ルーターにファイアーウォールを組み込み外部からのアクセスを制限した後,クリニックで使うアドレスを設定して全くクローンな環境を作り上げ,そのまま機材を持っていって使えるように準備しました.

クリニックの工事がほぼ終わった段階で機材を運び前もって配線しておいたLANにコンピュータをつなげました.ほとんど変更なしにORCAが立ち上がりプリンタもそのままの状況で使えました.あとは保健所から診療所のIDをいただけば(たぶん)OKのはずです.楽しみです.


開院後のパニック

さて,順調にセットアップができたので,開院当初はにこにこでした.診察が終わると同時に処方箋と会計が出るのは予定通りでした.もっとも時間がかかったのは,初診時の登録でした.だんだんと入力にも慣れてきたある日....

いわゆる地方公費の保険証の入力ができずにパニックになってしまいました.待ったなしで計算をしないとならないし,処方箋を出さないと行けないし,かといって登録ができないし,にっちもさっちもいかず..ちょっとそれ以上は書けません.後から考えれば,処方箋はコンピュータに頼らず,臨機応変で手書きにするという選択肢があったはず.でもその時は思いつきませんでした.

診療が終わって,クリニックを閉めたあとORCAのページをよく見てみると地方公費の登録の仕方が書いてありましたので,その通りにインストールしてそのあとはOKでした.解決するまであちこちにご迷惑をおかけしました.(先生,どうも夜中にすみませんでした)

なんとか,開院1ヶ月が過ぎて落ち着いて診療できるようになってきました.ほかのレセコンで業務をこなしたことがないので比較することはできませんが,ORCAの完成度は非常に高いと思います.


開院2ヶ月

さて,時計台クリニックも順調に日々が過ぎてゆき開院2ヶ月を迎えることができました.それにしても第1回レセプト提出はきつかったです.書類のまとめかたが全くわからなかったため,提出の前日に知り合いの先生に泣きつくことになりました.レセプトの分類の仕方から教えていただいたあげく,途中からビールを飲んでしまい,終電がなくなってしまい,そのまま診療所に泊めていただくはめになりました.(先生,それからスーパーナースのOさん,いつもありがとうございます)


開院5ヶ月

ORCAにまつわる話題は,医師会の方でも賛否両論あるようです.億単位の開発費を使っている割には全国で1000施設くらいしかORCAを導入していないのでは,既成のレセコンを使って年間何10万円も払っている先生方は納得できないような気がします.ORCAの導入時には確かに苦労しましたが,いれてしまえばほとんどメンテナンスフリー,コストフリーです.今後はもうすこしユーザーフレンドリーになってせめてオフィスをインストールするくらいの気安さでセットアップができるようになって欲しいです.そうしたらもっと普及するでしょう.もっとも普及してもらっては困る立場の方からは圧力があるかもしれません.世の中ってこんなことばかりですね.

ところで本日バックアップを取っていたら,なんとこの1ヶ月二重化がうまく働いていなかったことが発覚しました.前回jma-receiptをバージョンアップしたときに二重化がはずれてしまっていたらしく,サブのサーバーはこの1ヶ月ただ電力を消費していただけという状況でした.診療終了後にデータの同期を取ったり,redirectorの巨大なログファイルを削除したりしていたらまたまた帰宅が遅くなりました.こんなことやりたくないなあというのが本音ではありますが,それを承知でORCAにしたのだから仕方ありません.でもこういう作業はけっしてきらいではないのでついつい別のコンピュータにもデータを送ってみたりしてしまいました.ところでマスタのコンピュータから転送するファイルが1個が100MBくらいあるのでネットワークは1000BTでよかったです.


2重化とRAID

レセコンで最も大切なことは,どのようにしてデータを守るかという点であることに異論はありません.時計台クリニックでも開院してからデータが増えてきたのでもしもメインのコンピュータが具合悪くなったときのために2重化をすることとしました.従系としてもう1台のマシンにはDellのラックマウントタイプのサーバを選びました.これでも十分なはずだったのですが,ついつい主系にはRAIDを組んでみることにしました.ハードディスクを4台入れてそのうち3台でRAID5とし,残りの一台をスペアにしました.これでどのハードディスクがクラッシュしても自動的にスペアの1台が働いてデータをリカバーしてくれるはずです.部屋を暗くしてデータを送ってみると3台のハードディスクのLEDが同時に点滅し,そのまま従系のマシンにも書き込んでいるのがわかります.

これらの設定は日医のマニュアル通りであまり迷うことはありませんでした.というよりもすんなり2重化が出来てほっとしています.前述しましたが,6月に従系のマシンが働いていなかったことがありましたが,それ以外は問題なく働いてくれています.


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